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解決事例5 家族の仲が悪いが、
相続争いはしたくない
Tさんのケース

イントロダクション

埼玉県に住む30歳のTさんは数年前にお父さんを亡くしました。しかし89歳になる父方のおばあちゃんはまだ健在で、おじいちゃんが亡くなったあとは老人ホームでのんびりと余生を過ごしています。おばあちゃんには子供が4人おり、長男であるTさんのお父さんの他に、長女、次女、三女の3人の娘がいます。

おばあちゃんの財産は家が2〜3軒建てられる広さの土地(評価額1億円)と、長男家系が代々受け継いできた実家。Tさんはお父さんとお母さんと3人でこの実家に住んでいました。
もともとは、長男であるTさんのお父さんが家督を継ぐ、つまり土地と家を相続するという「暗黙の了解」がありました。しかし、数年前にTさんのお父さんが事故で亡くなってしまったことをきっかけに、その暗黙の了解が崩れ始めたのです。

もともと兄弟仲が良くない4人であったこともあり、とくに、おじいちゃんが亡くなったあとは老人ホームでおばあちゃんの面倒を見ている次女からすると、長男が亡くなったことで自動的に孫のTさんに土地と家が相続されるのは納得が行かないという思いが強くなったのです。「自分にも相続権があるはずだ」という思いは、次女が口火を切ったとたんにあっという間に姉妹のあいだに広がり、長女と三女も同じ思いを主張するようになってしまいました。
 そしてその思いはエスカレートし、Tさんのお父さんは既に亡くなってしまったのだから、おばあちゃんの財産は娘3人で3等分すべきだ、孫のTさんに自分たちと同じ分の相続権があるのはおかしい、という思いにまで発展してしまいました。

衝突が生まれたのは2週間前のことでした。Tさんの叔母にあたる次女が実家を訪れ、そこに住んでいたTさんとお母さんの2人に、実家から出ていくことを迫ったのです。先祖代々の土地と家は子供4人で均等に配分するものであり、長男が亡くなった今は娘3人で3等分するのが正しい。義理の娘(Tさんのお母さん)や孫(Tさん)は当事者ではないのだから、この土地から出ていってほしい。…という内容でした。

Tさんは大いに驚きました。なにしろこれまでやさしく接してくれたおばさんが、急に家を出て行けと言ってきたのですから。そんなTさんが真っ先に思ったのは、家族同士で揉めたくない、揉めるくらいなら静かに実家を去った方が良いのではないかということでした。しかし、少しづつ冷静になり、調べ物をしていくうちに、孫である自分にも4分の1の相続権があることを知りました。その権利は主張したい、でも、先祖代々の土地を4つに分割するようなことはしたくない、そしてやっぱり揉め事はできるだけ回避したい、といった幾つもの思いがぐるぐると頭を駆け巡るなか、藁にもすがる思いで不動産相続のプロである鈴木さんのコンサルティングを受けることにしたのでした。

Tさんの相談内容をヒヤリングした鈴木さんは、さっそく不動産相続解決センターのコンサルタント・税理士・弁護士・司法書士等による解決チーム内でディスカッションし、Tさんへのアドバイスプランをまとめました。

インタビュー

コンサルティングの打ち合わせで、Tさんは鈴木さんに対し、自分の置かれた状況や自分のなかの思いを、1時間ほどかけてゆっくりと話しました。
揉めたくない、でも1/4の権利は主張したい、でも土地を分割したくない。
このときの鈴木さんとのやり取りが、Tさんの内心を大きく掘り下げることになりました。

「ぼくは最初、揉めたくない、という気持ちが一番強かったんです。少なくとも、自分のなかではそれが一番だと思いこんでいた。でも鈴木先生から言われたのは、『これは揉めるよ。というか、揉めない相続なんて無いんだ。揉めることを嫌がっていては、相続の問題は解決しないよ』って言われたんです。つまり鈴木先生が言うのは、自分の中に第三者と決して相容れない主張がある、利害の対立があるから、揉める理由があるから、だからこそ揉めたくないという気持ちが生まれるんだ、っていう指摘だったんです。」

鈴木さんは更に突っ込んで、Tさんの心の奥底にある本音を探りました。Tさんが本当に望んでいることは何なのか、その原因は何なのか…丁寧な会話のなかから、ひとつの真実が浮かび上がってきました。

「だれだって揉めること、面倒事はいやでしょう。しかも僕の場合、揉めている相手が全員ひとつ上の世代の、目上の人間でしたから、まずは揉め事を避けるのが自分の使命だと思い込んでいたんです。鈴木先生に言われたんですよ『自分にとっての相続のゴールは何か、家督なのか、財産なのか、仲良し家族なのか、それをはっきりさせることだ』って。そこで、『家督』っていう言葉が出てきたときに、あっ、って引っかかったんですよ」

「僕は小さいときから、もう死んじゃったおじいちゃんに『この家の跡継ぎだ』って、言われ続けて育ってきました。死んだ親父からも、『俺のあとはいずれおまえが家を継ぐんだぞ』と言われていて。そういう責任があるんだなって、常にうっすら自覚しながら育ってきたんです。もちろん親父が死んでからはそういうことを言われなくなって、忘れかけていたんですけど、自分は長男の家系として、家督を継ぐ責任がある、そう思って生きてきたことを、急に思い出したんですね。」

Tさんにとっては、揉め事を起こしたくない気持ちも、もとはといえば親族を束ねる立場としての責任から生まれ出てきたものでした。土地を分割したくないという気持ちも、そう。そして心の奥底には、自分が家督を継ぐんだという自覚が横たわっていたのです。

「自分にとっては、家督を継ぐこと。おじいちゃんと親父から託された思いを受け止めること。それが一番大事なことだった。財産ではないんだということが分かった。それだけで、半分は相続の問題が解決したようなものでした。あとは鈴木先生の導きを受けながら、どんどん状況を整理していくことができました」

鈴木さんから次にアドバイスされたのは「他の相続人が本当にほしいものは何なのかをはっきり見極めること」でした。長女と三女は明らかに財産、つまりお金だけがほしい事がわかっていました。そして次女については、表向きは土地が欲しいと主張しているようでいて、実は夫から土地の権利取得をそそのかされていることがわかりました。次女の夫は工務店勤務であったため、相続対策としておばあちゃんの土地にアパートを建てたい気持ちでいっぱいだったのです。

「本当に欲しいものがわかれば、対策がはっきりする。時間はかかりましたが、本音がわかったことで、解決はもう目前でした。」

鈴木さんが提案してくれたのは、土地を抵当に入れて借金をし、その借金の一部で3姉妹の財産相続分を現金で渡す。残りのお金でアパートを建設し、アパートの家賃収入で借金の返済をする、という提案でした。これにより、財産が欲しい3姉妹と、アパートを建てたい次女の夫の希望をすべて叶えることができるというプランでした。

しかし収支シミュレーションをした結果、土地を抵当に入れた際の融資額は1億円、3姉妹への現金支払い分は7,500万円、アパート建設費は4,000万円となり、1,500万円分が足りなくなることがわかりました。

そこで鈴木さんがさらに提案した解決策は…

「生命保険」を使うという解決策でした。

Tさんが保険金受取人となり、おばあちゃんが契約者・被保険人となる生命保険に入ることで、相続時に2,000万円の保険金収入が生まれる、というものです。生命保険の非課税枠は「500万円×法定相続人(4人)」であるため非課税となるメリットもあり、Tさんが家督を継ぐために必要になる費用に加えて最終的に500万円の剰余金も生まれるという見事な解決策でした。
当然、Tさんは大喜びしましたが、鈴木さんはそこをたしなめました。

「『Tさんが欲しいのはお金じゃないでしょう』って言うんですよ。お恥ずかしい話ですが、ちょっとだけ欲が出てました(笑)。でも鈴木先生に言われて、あらためて、自分にとっての優先順位を確認することができました」

最終的にTさんは土地を担保にした1億円と保険金収入の2,000万円からアパート建設費4,000万円を引いた8,000万円を、自分以外の相続人であ3姉妹に3等分(2,670万円ずつ)で支払うことにしました。これはTさんなりの、相続に関するしこりや貸し借りを未来に全く残さないための最善の策でした。これで名実ともに土地と家は俺が継ぐんだ、責任を果たすことができたんだ。Tさんはそう思うことができました。

「おじいちゃん、父さん、これからも俺がこの家と土地を大事に守るからね、そんな思いがこみ上げてきて、死んだおじいちゃんと父さんに、ようやく胸を張って『僕がしっかり受け継いだよ』と報告できる、そんな思いがしました。もちろん自分が本当に望んでいる相続の形になりました。というより、自分が何を望んでいたのかを鈴木さんに見つけてもらえたのが一番の収穫だったのかもしれません」

(文末注意書き)

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このケースで当社が提供したサービスは... 「相続人同士の争い」解決サービス
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