69歳のSさんは妻、長男夫婦、そして孫と5人で神奈川県横浜市にある築35年の一軒家に暮らしています。子供はほかに次男が県内で暮らし、長女が都内に嫁いでいます。
Sさんはある日、とある大手建設会社から「不動産の節税対策の提案をさせていただきたい」という営業電話を受けました。その数日後、担当者が訪問して説明を受けたところ、「アパートを建設すると相続税対策に有効だ」という内容でした。
Sさんが所有する不動産は、自宅の土地が◯◯坪、農業用に貸している畑の土地が◯◯坪、そして更地のままだった土地が◯◯坪ありました。この更地のままの土地◯◯坪をそのまま相続してしまうと、土地評価額が◯◯◯円となるため、総額で◯◯◯万円もの相続税がかかってしまうと言われました。
また評価額が高いのは更地だからであり「ここにアパートを建設すれば相続時の土地評価額は◯◯◯円まで下がるため、基礎控除額を差し引くと相続税がかからなくなる。家賃収入の不安については、建設会社とのサブリース契約により将来の家賃は建設会社が保証するから心配いらない。アパート建設の費用は仮に借金しても確実に回収できますよ」…という話でした。
Sさんはそれまで、相続について真剣に考えるのは初めてでした。そこでまずは地元の付き合いをたどって税理士に相談したところ、「確かに建物が建っているほうが相続税は安くなる」という返答でした。Sさんは建設会社の提案を受けようかと一度は思いましたが、せっかく自分もまだ元気で時間はあるのだから、この際だから相続についていろいろな人に話を聞いてみようと考えました。土地のことだから不動産の専門家にも話を聞いてみようと考えたSさんは、不動産相続解決センターに相談してみることにしました。
無料コンサルティングでSさんの相談内容をヒヤリングした鈴木さんは、さっそく不動産相続解決センターのコンサルタント・税理士・弁護士・司法書士等による解決チーム内でディスカッションし、Sさんへのアドバイスプランをまとめました。
Sさんは、当初は「アパートを建てることで本当に相続税が減るのか」を教えてもらおうとしていました。しかし鈴木さんの返答はSさんを驚かせました。
「鈴木さんが最初に言ったのは『みなさん相続税を下げる方法ばかりについて知りたがりますが、お子さんたちのその後何十年もの人生を考えて資産運用をする人はほとんどいません。Sさんはどちらですか』って言うんですよ。これには本当に驚いて、目からウロコでした」
鈴木さんがアドバイスしたのは、相続税だけでなく、アパートを建設した場合の建設費および維持運営費、それとアパートの家賃収入の両方をプラスマイナスの観点でトータルで評価しようという点でした。
「言われてみれば当たり前のことなんですよね。アパートを建てて数百万円の税金が浮くといっても、アパートの建設には何千万円もかかるわけで。それに家賃収入といっても、向こう30年とか長い時間をかけて回収しなきゃいけない、しかもそれをやるのは私ではなくて、うちの息子なわけです。これはもちろん私一人で決められることじゃないし、さらに30年後なんて言ったら、うちの息子が孫への相続を考え始めなきゃいけないくらいの年頃になってるわけですからね。自分が、相続という耳慣れない出来事を前にして、いかに近視眼的になっていたか思い知らされましたね」
このアドバイスを受け、Sさんはアパート建設の是非、そして土地の最適な運用と節税について詳細なコンサルティングを受けることにしました。鈴木さんが最初に行ったのは、仮にアパートを建設した際の、家賃収入のシミュレーションをすることでした。
「これは本当に、土地のことは土地のプロ、不動産のことは不動産のプロじゃなきゃわからないことって山ほどあるんだと実感しました。電車はどういう路線が通っていて駅からどれくらい遠いか、近所にどういう施設があるか、似たようなアパートがどれくらいあって、そこの入居率や家賃はどれくらいか、そういう我々には調べようがないことを徹底的に調べてくれて。しかも将来的な近隣地域の再開発計画とか、長期的に地価がどうなるとか、本当に専門家じゃなきゃ分からないことも調べてくれた。おかげで建設会社の甘い言葉に乗せられないで、自分の頭で客観的に家賃をシミュレーションすることができたんです」
Sさんの土地の立地条件と近隣地域の長期的な展望を踏まえて算出された家賃シミュレーションは、残念ながらアパートの建設にかかる投資を回収するには困難なものでした。そこで最終的にSさんは、アパートの建設を断念することにしました。
「こればっかりは、しょうがない。むしろ楽観的な空想でアパートを建ててしまって、息子に負債と苦労ばかりを押し付けることになるよりは百倍ましだと思いました。鈴木さんに相談した後に知ったんだけど、私の知り合いでアパートを建設した人の中には、サブリースした建設会社に勝手に家賃を下げられて、家賃保証もウヤムヤにされて泣き寝入り、っていう人がゴロゴロいた。今から思えば自分も同じ目にあっていたかもしれない、息子を同じ目に合わせていたかもしれないと思うとヒヤヒヤするけど、そういう意味でも踏みとどまらせてくれたのは鈴木さんだったんですよ」
次にSさんが相談したのは、アパートを建設しない前提で、土地をどう相続するかという話でした。
そこで鈴木さんが提案した解決策は…
「最初はそりゃ、抵抗ありましたよ。誰でも言うことでしょうが、先祖代々守ってきて、受け継いできた土地ですからね。でも鈴木さんとじっくり話をしていく中で、土地にこだわりすぎて息子や孫に迷惑をかけるのは本末転倒だってことに気付いたんですよ。『受け継ぐべきは土地ではなくて、血ですよ』って言ってくれた言葉に胸が熱くなったんです」
結果、Sさんは不動産相続解決センターのサポートを受け、更地の土地◯◯坪を◯◯◯万円で売却。いまはその財産を現金として生前贈与するか、東京のマンションを購入して不動産運用するかのシミュレーションの最中です。
「鈴木さんと話して、よかったですよ。他の人たちはみんな、相続をするその瞬間のことしか考えてくれなかった。でも鈴木さんは、相続したあとに生き続ける子どもたちのその先の長い人生のことを考えてアドバイスをしてくれたし、今後数年か十数年か分からないけど、わたしのこれからの人生のことも考えてアドバイスをしてくれた。やっぱり不動産のプロってこういう目線で、土地と人と、ずっと長く付き合っていく存在なんだなって思いましたよ」
※この解決事例はプライバシーに配慮するため、人名・地名・金額などの情報をあえて改変しておりますことをご了承下さい。
※実際のサービスにおいては常に必要に応じて弁護士、司法書士、税理士ほかの有資格者と連携しながら常に法的に適正なサービスを行っております。
※この解決事例に記載した解決方法は全てのお客様に当てはまるわけではありません。似たようなケースでもお客様の置かれた環境や目的に応じて、全く異なる解決策をご提案することもございます。あくまで特定のケースにおける一例として紹介しておりますことをご了承下さい。